つい最近まで一人っ子政策を実施していた中国。そんな中国の未就学児(小学校に入る前の児童)の教育事情とは、どのようなものなのでしょうか?
中国の保育園・幼稚園のシステム
まず中国の未就学児教育の制度についてみていきます。中国では6歳で小学校にあがるので、それまでが未就学児教育ということになります。3つのタイプの施設があり、3歳未満の子どもが通うのが保育所です。3歳から6歳までの子どもには、幼稚園が、そして小学校に上がる1年前から、半日の就学前プログラムが始まります。
幼稚園では20人から40人が1クラスとなり、年齢別(3,4,5歳)のグループ1つには2人の教師と1人の保育士がいます。
中国の幼稚園の環境
アメリカの教室では、オープンスペースがあり、ブロックや画材の入っている棚がありますが、中国の教室は、小さな机と椅子がほとんどのスペースを占めているそうです。かなり画一的というか、アメリカと比べて全体を尊重するような感じなんですね。
一日のスケジュールは、朝8時ごろ、子どもたちが到着するときにはじまりまり、クラスセッションと自由時間が交互に行われます。子どもたちの成長に合わせて、1回15分で、週に6回のセッションから、最年長のクラスであれば、35分のセッションを週に14回行います。
昼ごはんの後、午睡の時間をとり、おやつ、自由時間と続きます。6時ごろになると親が迎えに決ます。
カリキュラムのあり方
基本的なカリキュラムはアメリカなどと同じようです。数字や、数の概念、発音の仕方などを学び、5歳児以降は、勉強の部分が入ってくるようです。いい学校に行くには、早くから教育を始めるのが良いという保護者の考え方があり、就学前プログラムでは、幼稚園よりも進んだ内容のカリキュラムが組まれています。
アメリカの場合、それぞれの発達段階にあわせたタスクを与えるようですが、中国の場合、全員が同じタスクを行うことに重きが置かれています。子どもたちが制作をしている場合、みな同じタスクをすることが求められるのです。一人だけ、次のステップに進む、ということをしないような方針の様です。
また、子どもたちは先生を尊敬し、従うように教育されており、グループでの活動の際、他の子どもと喋ったりすることは求められていません。自由時間の時は、子どもたちが自由に他の子どもと触れ合うことが許されています。
また、日本の学校のように、間違いをした子どもは皆の前で反省を求められることもあるようです。その反面、良い行いをした子どもや、いい成績を収めた子どもはみんなの前で称賛されたり、褒められたりもします。
最近の中国の未就学児教育
これまで中国の幼稚園がどのような形態であるのかをお伝えしてきましたが、最近の動向についてすこし見てみようと思います。
中国文部科学省の発表によると、2018年は、就学前教育への予算を150億元から、2019年には168億元に増やしたそうです。そのうち10億元が、幼稚園の建物を建てるために当てられるようです。一人っ子政策が解除され子どもが増えてくる中で、その需要をみたすべく幼稚園の建物をあらたに建築する取り組みが増えているようです。
このように、一人っ子政策の解除によって、中国の就学前教育の事情は変化の時期を迎えているようです。
参考:
Ministry of Education “China increases preschool education spending”
PBS “Early Childhood Education in China”