子どもたちへの声掛けで困ったエピソード&解決策
保育士や幼稚園の先生の誰もが一度は抱えたであろう悩み、”子どもたちへの声掛けの方法”。 保育士歴6年の私も、たくさん悩んだ経験があります。 その中で、最も声掛けに悩んだシチュエーションが、片づけの場面。 すぐに片づける子どももいれば、遊びに夢中で片づけたくない子どももいる。 「あー、活動(散歩や製作など)の時間が無くなっちゃうよ・・・!」と心の中で何度も何度も焦っていました。 試行錯誤していく中で、どのように解決していったか、その方法や私なりの考えをお伝えしたいと思います。
困ったエピソード「片づけ」
「片づけしようね」保育の現場にいるみなさんは、一日に何度この言葉をかけていますか? 多くの保育士さんがそうであるように、声掛けに工夫が必要なシチュエーションです。 朝子どもたちが登園し、散歩に行くとき。 「もうすぐお散歩の時間だから片づけしようね」と声をかけると、子どもたちはどんな行動をとっていくでしょう。 (以下、幼児クラス[3~5歳児])を前提とします) お散歩がだいすきなAちゃん「はーい!早く片付けて○○公園に行こう!」 まだ遊んでいたいBくん「やだーまだ○○であそぶ」 いまからほかの遊びをしようとしていたCくん「これやってからお散歩行く」 私が実習生や新卒の時は、”声を掛けたら動いてくれる”、こう思って子どもたちに声掛けをしていました。 でも、思った通りに動いてくれないどころか、一人ひとり違う反応があって、対応できずに困ってしまう。 また「やだ」と言われたときにどうすればいいのかわからず、悩んでいました。 子どもたち一人ひとりに、それぞれの状況がある。 片づけ始める子ども、片づけたくない子ども、それぞれに理由がある。 だから、子どもたち全員が一斉に片づけを始めないのは自然なことです。
解決策
では、一人ひとり異なる状況で、どんな声掛けをしていくのがよいのでしょうか。 幼児クラスであれば、あらかじめ片づけの時間を伝えておくでしょう。 しかし、それでも片づけたくないのは、いま片づけられない理由があるから。 私は、そんな子どもに対して、必ず理由を聞くようにしています。 集団生活ですので、ひとりひとりそうできるとは限りませんし、時間もかかります。 その日のスケジュールもありますし、片づけや散歩の準備のスピードも、個人差があります。 ただ、子どもの言葉に耳を傾けることはとても大切で、どうすればいいのか一緒に考えることは子どもが自分で考えて行動できるようになる一歩であると考えます。 ・なぜいま片づけをしたくないのか ・どうすればいいのか 子どもがそれまで何をしていたのかを踏まえ、理由を想定し、なぜ片づけたくないかを聞いてみます。 一緒に考えていくことで、子どもは自分の思いを言葉にしようと努めます。 考えること、言葉に(しようと)することで、自分の思いを整理する助けになります。 また、考えても分からなかったり、困ったりしたときには友だちや保育士に聞いてみるといった自主的な行動にもつながっていきます。片づけをしてほしいという保育士の思いを伝えるのは、そのあと。 「そっかぁ、きょうはBくんが行きたいって言っていた○○公園に行こうと思うんだけど、どうする?」 「Cくんがすきな鬼ごっこしに行かない?」 「ブランコいっぱいできるかな~?」 「みんなまだ準備してるから、間に合うかもしれないね」 などなど、興味を持てるような声掛けをします。 大人だって、「片づけて」「早く準備して」と言われるよりも、「散歩行きたいな」と思ったほうが早く片付けたくなりますよね。 丁寧に理由を聞き、それから保育士の思いを伝える。 基本的なことかもしれませんが、子どもが次の行動に踏み出す一歩として、大切な援助だと思います。 ぜひできるところから実践していただけたらと思います。