テファリキは1996年にニュージーランドで始まった、比較的新しい幼児教育です。
子どもの社会的、文化的な学びや人と関わることを通して学んでいくことを目的としています。

日本では子どもたちが集団行動を行うこともありますが、テファリキでは強制せずに、一人ひとりの気持ちを尊重するという点も大きなポイント。
自由遊びをメインとして、思い切り遊びこむことで「自分で考えて行動する」ようにと導きます。

日本でも自由保育という枠組みの中で行っている園もありますが、テファリキ教育を謳って解説している園は多くありません。

テファリキには特徴的な4つの原則があります。
それが…

・エンパワーメント（Empowerment）
・全体的発達（Holistic Development）
・家族と地域（Family and Community）
・関係（Relationships）

エンパワーメント（Empowerment）とは、子どもが自分のやりたい遊びを通して、自分本来の能力が発揮される経験をするというものです。
また、全体的発達（Holistic Development）は、子どもの発達を相対的にみることで、次のステップを見つける目的があります。
さらに、家族と地域（Family and Community）では幼稚園や保育園の中だけでなく、家族や地域のコミュニティなどより広い世界で学び、関わっていくことを目的としています。
多くの人とのかかわりを持つなかで自分の所属感や自己肯定感を高めていくことになります。
さいごに、関係（Relationships）ですが、これは人との関係に限らず、場所や物との関係も良好に保つことを目的としています。

テファリキには4つの原則と絡み合うように、さらに5つの要素もあります。
それが…

・ウェルビーイング（Wellbeing）
・所属感（Belonging）
・貢献（Contribution）
・コミュニケーション（Communication）
・探索（Exploration）


ウェルビーイング（Wellbeing）は、子どもがいつでも心身ともに幸福で健康な状態でいることです。
園内でだけでなく、家庭でも継続して行われるのが望まし要素の一つです。
さらに所属感（Belonging）は、子ども自身が所属していることをきちんと感じられるように援助することです。
家族や地域コミュニティなど様々な場所での活動を通して培っていきます。
また、貢献（Contribution）では、子どもにとっての学びの機会がみんな平等であり、一人ひとりの活動や貢献が価値のあるものだということを指しています。
さらに、コミュニケーション（Communication）はそれぞれの子供の持つ言葉やシンボルが促されて守られるものであることを指します。
最後に探索（Exploration）では、子供たちが環境の中で積極的に探索することを保証します。

テファリキでは子どもにとってのメリットがいくつもあります。
世界中で特に重視されるその一部を紹介しましょう。

・ラーニングストーリー
日本で言う「おたより帳」はテファリキではラーニングストーリーと言います。
担任の先生と親だけでなく、子どもに関わった人ならだれでもコメントできるのが特徴です。
複数人から子どもの成長を記録していくことで、親自身の気づきのきっかけになったり自己肯定感をはぐくむことにつながったりします。

・適応能力がはぐくまれる
テファリキによる教育では、子どもの忍耐力や回復力、適応能力や創造性がはぐくまれることがニュージーランドの教育センターの調べで分かっています。
またリスクを恐れずにイマジネーションにより乗り越える力もつくと分かりました。

・コミュニケーション力が発達する
テファリキの教育では、子ども同士でトラブルがあったとしても先生はケガのないように見守るだけです。
それぞれの子どもの想いを話させ、お互いが話し合いによって理解し合える力を身につけていくのです。
この経験を幼少期から繰り返すことで、自分の意思を伝えたり、物事を解決する、相手の気持ちを汲み取るなどの力が身につきます。

テファリキは世界中から注目されている新しい教育方法ですが、日本でもテファリキを取り入れている園があります。
テファリキについてその特色や概念をしっかりと理解し、子どもの遊びへの援助をシミュレーションすることで、就職に役立てたいですね。