モンテッソーリ教育ってなに?~日本の保育園や幼稚園でモンテッソーリ教育が導入されている理由~
棋士の藤井壮太さんが幼少期に受けていたことで一躍有名になったモンテッソーリ教育。
世界中でその教育効果は認められており、ビル・ゲイツやバラク・オバマなど多くの有名人がモンテッソーリ教育を受けてきたと言われています。
では、モンテッソーリ教育とはどのようなものなのでしょうか?
なぜ、日本の保育園や幼稚園で導入されるようになってきたのでしょうか?モンテッソーリ教育について解説していきます。
モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育は、子ども自身から生まれる「やりたい!」という気持ちを尊重し、興味を持っていることを好きなだけやらせるという教育方法です。
元々医師であり教育家でもあったマリア・モンテッソーリが考案した教育方法です。
「子どもの自己教育力」という、子ども自身が学び成長していく力を信じ、保育者はその環境と自由を保障します。
その中で子どもたちが自発的に活動をしていくというものです。
モンテッソーリ教育の目指すところ
・自立した人間になる
・有能な人間になる
・責任感と他人への思いやりのある人間になる
・人生を通じて自発的に学ぼうとする人間になる
モンテッソーリ教育は現代で、大脳生理学や児童心理学、教育学の面から見てもとても良いと証明されているのです。
モンテッソーリの5領域
モンテッソーリ教育を受けることで伸ばせる5つの領域があります。
それぞれ解説していきます。
■日常動作
子どもはよく大人のすることを真似したがります。
その気持ちを尊重し、自分の体を思い通りにコントロールする力を付けることを目的として行われるのものです。
しかし、日常動作というと難しそうに思えますよね。
実際に行われる動作は
・洗濯板を使っていろいろなものを洗ってみよう
・野菜を切ってサラダを作ってみよう
・雑巾を絞って床を拭いてみよう
というものです。
また、小さい年齢の子どもでも
・コップに牛乳を入れてみよう
・いろいろな素材をはさみで切ってみよう
・ボタンをかけてみよう
・ほうきとちりとりをつかって掃除をしてみよう
ということにも、子どもの気持ちを尊重しながら取り組めます。
「子どもはできないのではない。やり方を知らないのだ」というモンテッソーリ教育の考え方に則って正確にやり方を伝え、見守るのが先生です。
■感覚教育
感覚教育はモンテッソーリ教育の教具を使って行われます。
・対にする
・段階づける
・分類する
という3つの動作がメインになります。
子供たちはものをよく観察して、自分で考え、分類したり並べたりして遊びます。
■言語教育
子どもは言葉に対して興味を持つ「言葉の敏感期」があります。
言葉の発達段階に合わせて細かいステップを繰り返して言葉を学んでいきます。
絵と言葉の書いてあるカードを並べたり、文字だけの積み木を並べて言葉を作ったりして遊んでいきます。
■算数教育
数字や物の大きさなど数学的なものに興味を持つ時期もあります。
モンテッソーリ教育ではこちらも教具を使って学んでいきます。
数量が具体的に分かる教具を使って遊んでいく中で自然と数の概念を身につけていくのです。
■文化教育
ことばと数以外のものすべてです。
地図や国旗を見てみたり、時計の動きを学んだりという教育が行われます。
この文化教育は子どもの「知りたい」に先生が応じ、興味を引き出す教育です。
モンテッソーリ教育は日本の保育園や幼稚園でどのように行われる?
モンテッソーリ教育を取り入れている保育園や幼稚園が近年急増しています。
先生全員がモンテッソーリ教育の資格を取得して、すべてのカリキュラムをモンテッソーリ教育で行っている園から、一部の先生が資格を取得してモンテッソーリ教育の時間を設けている園、モンテッソーリ教育風の教具だけを取り入れている園など、実態は様々です。
日本でモンテッソーリ教育が導入される理由
ではなぜ、日本でモンテッソーリ教育が導入されているのでしょうか?
その理由は「子どもたち一人ひとりを見つめた教育を行えるから」です。
日本では永く、一斉保育が主流でした。
学校のように集団行動を幼少期から求められていたのです。
その結果、「先生、何して遊べばいいですか?」と問うような指示待ちの子どもに育ってしまうことが分かりました。
その後は徐々に自由保育にシフトしていきます。
しかし自由保育は先生方がしっかりと子どもの「やりたい」を見つけて援助していかないと子どもの成長につながらないということが分かっています。
また、一斉保育に慣れているベテランの先生と、自由保育を推奨したい先生の間で認識の違いも多く出ました。
そこで取り入れられ始めたのがモンテッソーリ教育をはじめとする海外の教育です。
モンテッソーリ教育では、子どもが主体的に取り組める、異年齢保育で子どもが育ちあうなどのメリットが多くあります。
また、教育方法が体系立てられているため、先生たちの認識の違いも起こりにくいのです。
何より、先生も保護者も子どもの育ちを感じられる点が日本で評価されました。
まとめ
モンテッソーリ教育は保育園や幼稚園のカリキュラムという印象のある日本。
しかし海外ではモンテッソーリの小学校から大学まであります。
日本では学校教育法があるため、モンテッソーリ教育を学校で行うのが難しいのが現状です。