子どもの自主性を大切にした、見守る保育とは?
やるべきこと・やらなければいけないことを自分で考えてできる力、「自主性」を育てることが、保育、教育の世界で注目されています。
「見守る保育」と言うのはその字の通り見て守る保育のことです。
危険がないかを気を付けながら、子どもの様子を観察することで見守る保育は成立します。
そのため、前提として見ているだけで他のことを考えているようでは、見守る保育にはなりません。
では、見守る保育とはどんなものなのか。
なぜ見守る保育が自主性を育てる上で大切なのかをまとめてみました。
子どもの気持ちを想像して考える
小さな子どもと関わるとよく分かると思いますが、乳児や幼児は時間をかけて物事に取り組みます。
日常生活においては、大人がすれば1分もかからず終わることが、5分以上時間が必要になることも少なくなく、ついつい手を出したくなります。
また、遊びに関しても、大人には想像もつかないような遊び方をして楽しむことが多く、ついつい「こっちの方が良いんじゃない?」などの言葉を掛けて、誘導しがちです。
しかし、自主性を大切にするならば、むやみに手伝ったり、遊びを誘導せず、子どもたちの様子をまずは見守ることが必要です。
何を考えているのか、子どもたちはこの後どうしたいのかなど、子どもの行動の意味を考えた上で、必要に応じて声掛けをしたり、サポートにあたりましょう。
また、子どもが壁にぶつかった際も、その子の性格や発達を振り返った上で、自己解決できる内容であれば、口や手を出さずに様子を見守るようにしましょう。
あくまでも大人はサポーターであり、先回りして環境を整えたり、必要以上の手助けは子どもの自主性を潰してしまう可能性があります。
過干渉せず、適度な距離感を保ちながら保育することを意識してみてください。
子どもの言動を否定せず、受け止めよう
大人として子どもの発言や行動に、何かしらもどかしさや違和感を感じたとしても、一度受け止めるようにしましょう。
もちろん、友達を傷つけるような言葉など、道徳的に見逃せない場合や、子どもの行動が危険に直結する場合は、大人として止める必要があります。
しかし、それ以外の場合は静かに見守り、受け止めるようにしてあげてください。
子どもは、自分の行動や言動を否定され続けると自信を失くし、自主的に発言、行動することができなくなります。
大人同士の関わりでも、何か行動する度に注意されていたら、何が正解か分からず、自ら動こうという気を失せていってしまいますよね。
基本的には、子どもの行動や言葉を受け止め、もし、子どもの言動や行動を否定するときは、必ず理由を添えてあげてください。
子どもに自信をつけ、自己肯定感を持たせることで、自主的に行動、発言ができる力が育まれます。
子どもの失敗や悲しみを受け止める
見守る保育の環境下では、大人が手伝っていた頃よりも失敗したり、間違えたりすることが増えます。
服や下着の前後が逆だったり、食器が上手く使えなくて食べこぼしが増えたりと様々です。
その結果、子ども自身が「出来ない」「悔しい」「イライラする」といったような、ネガティブな感情を抱くことも少なくありません。
また、大人がそういった失敗を馬鹿にしたり、呆れたり、怒ったりしてしまうと、子どもはより失敗や間違いを恐れてしまいます。
見守る保育をするならば、子どもに対して「失敗しても良いよ」というスタンスを持っておいてください。
逆に言えば、月齢や発達を鑑みた上で、やらせない、触らせないという選択肢もあります。
例えば、寝る前のパジャマが前後逆であれば、もう一度チャレンジすれば良いですが、忙しい時間帯やフォーマルな場所では、着替えに時間を割くのが難しいこともあります。
そういった場合は、子どもの気持ちを受け止めた上で、今は出来ない理由をきちんと伝えましょう。
「今は無理」「今日はだめ」のような、曖昧な表現では、子どもは理解出来ません。
もちろん、早め早めに行動することで、忙しい時間帯の中で時間を作るという方法もあります。
個々に合った丁寧な対応を意識してください。
まとめ
見守る保育に慣れるまでは、いつサポートすれば良いのか、声を掛ければ良いのか迷うことがあるかもしれません。
ひとつ、私が保育士時代に実際にしていたやり方をご紹介します。
それは、物事への取り組みに時間がかかっている子に対して、一言「お手伝いしようか?」と声を掛けるだけです。
子どもの発達に応じて実際に少し手伝っても良いし、言葉や身振りで説明しても良いと思います。
もちろん、子どもが手伝いを拒否した場合は引き続き見守ります。
自主性がある子は、保護者や保育者、先生などに言われなくても、自分のおかれた状況からすべきことを自主的にやるようになります。
始めから、「まだ出来ない」「難しい」「その遊び方はおかしい」と否定するのではなく、子どもたちの個性を受け入れ、信頼しましょう。
その信じて見守る気持ちが、子どもたちの自信に繋がります。