子どもはどうして嘘をつくの?保育者としての対応
子どもが嘘をついたとき、「正直な子に育って欲しい」という想いからつい厳しい言い方で注意してしまうこともあるでしょう。
もちろん、嘘をつくことはいけないことだと教えることはとても重要ですが、そもそも子どもはなぜ嘘をつくのでしょうか。
嘘をつく理由が明確になると嘘への対処法も見えてきます。
今回、子どもが嘘をつく理由と対応をまとめました。
なぜ嘘をつくの?
子どもたちがつく嘘には様々な理由が隠されています。
嘘はダメだからと否定するだけでなく、この嘘にはどのような意図があるのかを考えていくことが重要です。
・願望からの嘘
子どもは表現力豊かで、自分のイメージした空想の世界の話をする時があります。
子どもから、「恐竜見たことあるよ」と聞けば、周りは「嘘」と捉えられてしまいますね。
しかし、自分の願望やイメージした空想の世界について話すことは、子どもの成長の過程で自然にあることです。
子どもの世界観を嘘だからと言って正そうとするのではなく、「先生も恐竜に会ってみたいな」と思いを受け止めて見守りましょう。
・もっと自分を見てほしい
「私苦いコーヒー飲めるよ」「逆上がりできるよ」などと自分にできない嘘をつくこともあります。
このような嘘の中には、「自分のことを見てほしい」「たくさん褒めてほしい」という気持ちが込められています。
「○○ちゃんが鉄棒頑張っていたのを先生見ていたよ」と見ていることを言葉で伝えていくことで自己肯定感が高まり、承認欲求からの嘘は自然に減っていくでしょう。
また、保育園だけでなくお父さん、お母さんから褒められる経験は心の安定にも繋がりますので、家庭との連携を図りましょう。
・自分を守るための嘘
友だちとのトラブルになった時や自分が失敗したときについてしまいがちなのが、この「自分を守るための嘘」です。
自分がやってしまった失敗を「これ壊したのは○○君だよ」と友だちがやったと言い張っていたけれど、周りの子が見ていて嘘だと判明したということも少なくありません。
「叱られるのが嫌だから隠したい」という気持ちの現れから起こる行為ですので、もちろんいけないことだと伝えることは大切です。
しかし、嘘をついて叱られたという経験をくり返してしまうと、更に𠮟られることが嫌で隠すようになります。
嘘をついたときの対応
では、嘘をついてしまった子どもへの対応でどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。
・感情的に叱らない
何かを壊したり、自分の失敗を友だちのせいにしたり、嘘をつくことは悪いことだから厳しく𠮟らないといけないと思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、それは逆効果です。
上記にも挙げましたが、子どもは叱られることが嫌で嘘をついたことを隠そうとします。
その中で感情的に叱ってしまうと「怒られた」という感情だけが残り注意されていることに意識が向かなくなります。
責めたり、強い口調で問い詰めたりするのではなく、子どもの視線に合わせて失敗することが悪いのではなく、嘘をついて隠そうとするのがいけないことだと伝えましょう。
・正直に話せたことを認める
子どもたちから話を聞いていると、最初は失敗を隠そうと嘘をついていても次第に正直に話してくれることもあります。
その時がチャンスです。
まずは、本当のことを話せたことを認めましょう。
「○○くん、本当のこと教えてくれてありがとう。次は物を壊しちゃった時には、隠さないで先生に教えてくれると嬉しいな」
と優しい口調で伝えることで、嘘をつかずに正直に話せることも増えてくるでしょう。
まとめ
叱らずに見守るか、いけないことだと伝えるか対応に悩むこともありますね。
「もっと私を見てほしい」「叱られたくない」などの子どもたちの思いに気づき、嘘をつくことがいけないと伝えることも大切ですが、嘘をつかなくていいような環境設定を考えていけるといいですね。