慣らし保育は、「子ども」「保護者」「保育士」それぞれにとって必要な期間です。

・【子ども】新しい環境に慣れるため
初めて経験する団体行動に大人でも不安や緊張を抱くように、小さな子どもたちにとっては、よりストレスがかかります。
場合によっては、体調面にも支障をきたす場合もありますので、少しでも負担を軽くするために１時間、３時間、半日と子どものペースに合わせて慣らし保育を進めていく必要があります。
保育時間を決めて進める場合もありますが、「水分や食事が摂れるようになったらお昼まで」というように活動によって区切ることもありますので、園での様子を保護者に伝えて保育時間を検討するようにしましょう。

・【保育士】保育者が子どものことを知る
保育者は子どもと生活をしていく中で、一人ひとりとの信頼関係を築いていきます。
登園初日は泣いていた子も数日経ち、保育者に抱っこを求めるようになると少しずつ慣れてきた証です。
慣らし保育が終わると早朝や延長保育を利用することが増えて、保護者と担任が直接話せる機会が減ることもあります。
しかし、慣らし保育中は直接保護者と担任がやり取りできるので、子どもの姿を伝えあうことができますので、保育者にとっても子どものことをじっくり知る貴重な機会といえるでしょう。

・【保護者】子どもと離れる準備期間
子どもだけでなく保護者も、初めて保育園に預ける場合、不安や心配なことがあることでしょう。
親にとっても入園前とは生活リズムが変わりますので、慣らし保育中に短時間から預けることで保護者にとっても新しい生活リズムを整えるための準備期間です。
保育園に持っていく物を準備しながら、朝ご飯の準備をして…と慌ただしくなってしまう日々の中、送迎する際にも慣れる必要があります。
時間帯によっては道が混みあっていてバタバタしてしまう場合もありますのでお父さん、お母さんによる送迎に慣れて習慣化しましょう。
また、今まで家庭で過ごしてきた我が子をいきなり1日預けるとなると「泣かないでやっているかな」と心配になりますが、慣らし保育は徐々に時間を延ばしていくので、親にとっても子どもと離れる練習にもなりますね。

慣らし保育が始まり生活リズムが変わる中、一番大切なのは「保育者が明るく笑顔で関わること」です。

泣いている子どもを預ける際には、後ろ髪を引かれる思いもあり、なかなか子どもから離れられないお母さんもいます。
そのようなときに、保育者が堂々と「お母さん、お任せください。行ってらっしゃい！」と元気に笑顔で対応することで親も安心して離れることができますね。
さらにお家の人の笑顔を見ることで、子どもも「保育園は安心して過ごせる場所だ」と思えるようになりますので、常に明るく笑顔で関わることを意識しましょう。
他にも様子を伝える際には不安になることばかりでなく、興味を持ったことや少しでも寝られたこと等も伝えてください。

ただし、注意が必要なのは、保護者を安心させたいからといって「大丈夫」と伝えるだけでなく子どもの体調に関わることはしっかり伝えましょう。
例えば「今はミルクを一口も飲まないので、飲めるようになったら時間を延長していきましょう」というように事実をしっかり伝えたうえで保育時間を検討しましょう。
時間を提案する際には、保護者の要望にも耳を傾けることで良好な関係を築くことができます。

慣らし保育期間中は子どもが初めての環境に慣れる目的ではありますが、親や保育者にとっても大切な時間となります。
子どもが泣く姿に戸惑うこともあるかと思いますが、焦らず子どものペースに合わせて慣らし保育を進めていきましょう。